「予備力」とその判定方法について

先ず、加齢に伴う体力・生理機能として、1.呼吸・循環機能の低下、2.消化・吸収能の低下、3.排泄機能の低下、4.運動機能の低下、5.感覚機能の低下、6.能・神経系機能の低下、7.免疫機能の低下、8.性機能の低下、9.造血機能の低下、等がみられるようになりますが、また、心身の恒常性を維持するために必要であるといわれている、1.防衛力(免疫力・反射神経によって健康を脅かす病気や死に対して戦う能力)、2.予備力(体力・生理機能の最大能力と、通常使用している体力・生理機能能力の差をいい、ストレッサーに対する対応能力)、3.適応力(ある状況に合うように行動の仕方や考え方を変える能力)、4.回復力(病気や損傷、肉体疲労等によって体力・体調が低下している際に、傷などを治し元気・健康を取り戻す能力:自然治癒力)の4つの能力も並行して低下することで、健康被害や高齢者特有の疾病等が生じるといわれています。

加齢によって何故前述した機能や能力が低下するのかという理由については、①プログラム説(老化を起こすための遺伝子が存在すると考える説)、②エラー説(DNAやタンパク質などに蓄積する構造的なエラーが老化をもたらすとする説)、③消耗説(生命の維持に必要なものが徐々に失われるという説)、④フリーラジカル説(ミトコンドリアで産生されるフリーラジカルが老化をもたらすとする説)、⑤分子間架橋説(DNAやタンパク質などに蓄積する分子間架橋が老化をもたらすとする説)、⑥ミトコンドリア機能説(ミトコンドリアの機能の変化が老化をもたらすとする説)、⑦免疫機能説(免疫機能の変化が老化をもたらすとする説)、⑧ホメオスタシス説(加齢に伴う糖代謝能の変化などが老化をもたらすとする説)など多くの仮設が提唱されていますが、現在においても定説されるには至っておらず、このような理由によって身体を構成している約60兆の細胞の代謝機能に異変が生じることで細胞数が減少し、その結果、臓器の萎縮による臓器の機能低下によって心身の恒常性を維持するために必要な体力・生理機能や能力が低下すると考えられています。

yobiryokuここで、今回ご質問の「予備力」についてですが、予備力とは、前述したように「その人が持っている前述しました体力・生理機能の最大能力と、通常使用能力の差」をいいますが、予備力が低下(余力の不足:差が縮まる)すると、環境変化への適応能力が弱くなったり、身体に負担が掛かった場合には回復するのに時間が掛かったり、慢性化しやすくなるようです。

 

では、日常的にどのような状態であれば「予備力の低下」が予測できるのかといいますと、

  • 元気な大きな声で挨拶できていた方が、徐々に声が小さくなり、挨拶をしなくなってきた場合。
  • 自力歩行ができていた方が、つまずくようになったり、歩行ができなくなってきた場合。
  • 口を使って全量食べることができていた方が、徐々に食欲がなくなったり、食べ終わるのに時間が掛かったり、「誤嚥やむせ」がみられてきた場合。
  • 栄養管理をしているにも拘わらずBMIが低下してきた場合。
  • 水分摂取量が低下してきた場合。
  • 褥瘡や肺炎等に罹患しやすくなった場合。他